窓に西陽が あたる部屋は いつもあなたの 匂いがするわ ひとり暮らせば 想い出すから 壁の傷も 残したまま おいてゆくわ 愛をつぐなえば 別れになるけど こんな女でも 忘れないでね やさしすぎたのあなた 子供みたいなあなた あすは他人同志になるけれど 心のこりは あなたのこと 少し煙草も ひかえめにして 過去にしばられ 暮らすことより わたしよりも可愛い人 探すことよ 愛をつぐなえば 重荷になるから この町を離れ 暮らしてみるわ お酒のむのもひとり 夢を見るのもひとり あすは他人同志になるけれど
川﨑 それを見て、「何?その時計は」と勇気を出して訊いたら、「これは俺の時計だ」と言うわけですよ。「あ、そう」「見る?」と取ってもらって。それでその時は素直にすっと出してくれて見せてくれたのですよ。それでパッと見たら、トゥールビヨンなのですよ。 蟹瀬 トゥールビヨンというのは、機械式の……。 川﨑 機械式の、超複雑機構が付いていて、「大丈夫かな」と。「あまり粗末に扱っちゃいかん」と教えられていまして、「おう、これは俺の時計だよ」と持った瞬間に、「これはこうやってできるんだよ」と、ポンと投げるのですよ。 蟹瀬 えー……。 川﨑 「えー」って、もう、時計でそんなことやってはって……。それで値段を訊いたら、当時の値段で1, 900万円だったわけですよ。それで「これから売り出すんだよ」と。それで、リシャール・ミルって名前が入っているのですよね。「ありがとう」といって。今まで時計業界で仕事していましたけど、こんなかっこいい時計があるのかという印象です。それだけです。 蟹瀬 そこから始まったわけですね? 川﨑 そこからです。 リシャール・ミル。1951年、フランス生まれ。大学卒業後、いくつかのラグジュアリーブランドのマネジメントに携わる。2001年、時計ブランド「リシャール・ミル」をスイスで創業。16年間で70を超えるモデルを世に送り出す。歴史が物を言う高級機械式時計の世界で、瞬く間に老舗ブランドと肩を並べるまでに成長。新たな時計の価値観を生み出した。 中島 そのリシャールさんの時計のどんなところに惹かれたのですか? 川﨑 全ての黄金比率というのですかね。パッと見が、めちゃくちゃかっこよかった。セクシーでグラマラスだろってよく言われるのですけど。